TOPICS1

GLOBAL

新潟から世界へ。
新市場開拓の
先頭に立つ

※2023年12月時点の役職にて掲載しています。文中の吉田社長は現 吉田至夫代表取締役会長を示します。

新潟クボタの海外展開の始まり

2011年、クボタによる米輸出事業が始動したことが、新潟クボタの海外展開のきっかけとなった。新潟クボタは1989年から農需創造路線を打ち出し、農機販売だけでなく、事業を広げる戦略を取っていた。1994年には株式会社新潟農商を設立し、農家から直接お米を集荷し、販売する仕組みを構築。2011年3月11日の東日本大震災の影響で世界中が日本の農産品の輸入を停止する中、当時クボタの益本社長の強い意志で米輸出プロジェクトは継続された。

玄米輸出と新潟農商の取り組み

新潟農商による新潟県産米の集荷・輸出体制が整い、クボタは2011年には香港に久保田米業(香港)有限公司を設立。香港進出のポイントは、現地に精米工場を作ることだった。この新しいビジネスモデルにより、国内と同等な品質の新潟県産米を流通できるようになった。2013年にはシンガポールにも販売会社を設立し、同様のビジネスモデルで展開した。

新潟クボタのモンゴルへの進出

2013年、新潟クボタはモンゴルにMJパートナーズを設立。モンゴルはお米を主食としていたが、稲作が普及せず、中国などからの輸入に頼っていた。2013年にはウランバートルに精米工場を建設し、日本米の販売事業をスタートさせた。

新潟農商の輸出体制と成果

新潟農商は2018年にISO22000、翌年にGLOBALG.A.Pの認証を取得。2020年には東京オリンピックでお米を提供するための対策も行った。新潟クボタグループは2022年には約2,600tの輸出米を扱い、世界30カ国に新潟県産米を届けている。特にシンガポール、アメリカ、モンゴルへの輸出が目立つ。

NKファームの設立と輸出用米の栽培

2014年、新潟クボタは村上市にNKファーム村上を立ち上げ、輸出用米の栽培を開始した。2015年には新潟農商が乾燥調製施設を建設し、輸出米生産の経営を自分たちで実証した。

モンゴル市場への農機販売

2019年、新潟クボタとテクニック・インポート社はMJアグリテックを設立し、モンゴルで農業機械の販売事業を開始。モンゴルでは小麦栽培が盛んで、野菜のニーズも高まり、中型、小型農家では生産効率を上げる小型の農業機械が求められていた。

MJAの成功と将来展望

MJAは創業から3年目で黒字化を達成し、モンゴル市場に適したトラクタの投入と中古機械の出荷で農業発展に寄与している。吉田社長は、この事業モデルがカザフスタンにも通用するのではないかと期待している。 新潟クボタの取り組みは、世界各国で展開できる可能性を秘めており、グローバルの視点を持ちながら、米輸出から農業機械販売の展開例を軸に、更なる販路拡大を目指している。

TOPICS2

DIGITAL

IT中期計画を
核にした
経営改革

※2023年12月時点の役職にて掲載しています。文中の吉田社長は現 吉田至夫代表取締役会長を示します。

システム導入と業務改革

2018年、新潟クボタはIT中期計画の一環として、コアシステム、サービスシステム、フロントシステム、ビジネスインテリジェンスを全拠点で稼働させた。これらのシステムは営業効率の向上、組織営業への対応力強化、整備事業拡大、在庫の可視化と削減、間接業務の削減を目指して導入された。1990年代に導入された旧システムの拡張限界を迎え、新潟クボタはアクトスやアンサーなどのシステムを刷新し、新しいシステムへの移行を図った。吉田社長はこの機会を捉え、社内でのパイロット運用を推進した。

次世代の働き方への展開

吉田社長は、新聞記者時代に取材したトヨタのトヨタ・イズムの素晴らしさを知り、まずはデジタル化が不可欠だと感じていた。また、社員のワークライフバランスを重視する経営スタイルを目指し、不採算部門の見直しや利益還元、組織改革を推進。2008年には経営統合を行い、営業所の整理・統合や拠点機能の整備を進めた。農家や生産組織へのソリューション提案を強化し、大型集中整備工場を備えたサービスセンターを設立した。

販売会社用システムの構築

2016年には新潟クボタでのシステムパイロット導入が決定し、30人以上のシステムエンジニアやプログラマが約1年間システムの開発に取り組んだ。新潟クボタでは、システム導入を業務の見直しと合わせて進め、業務の合理化とペーパーレス化を実現した。2020年には請求書照合システムやRPAの導入を行い、自動化を加速させた。

コロナ禍における事業計画の達成

2019年末からの新型コロナウイルス感染症の流行において、新潟クボタはさらにデジタル化を進めることでリモートワークへの対応を可能にし、事業計画の達成を実現した。デジタルマーケティングの展開やFSと連動した受付システムの導入も進めた。

ISO 9001の全社認証取得

吉田社長は組織の洗練化にISO認証の活用を考え、新潟クボタではISO 9001の取得に動いた。QCサークル活動を通じて、社員が自発的に経営に参加する体制を実現。各部門ごとに段階的にISO認証を取得し、2022年に全社統合を行った。また、経営企画部を設置し、ISOの全社的運営を行う体制を構築した。

「見える化」とイノベーションの推進

ISO認証を通じて業務の「見える化」を推進し、品質管理を強化した。作業の標準化、人材育成、5S診断による作業改善などを行い、社員の自立性向上と業務効率の改善を実現。この経営改革は、勤務環境の変化や給与のベースアップにもつながった。ISOの取得は業務改革の始まりであり、新潟クボタのイノベーションの幕開けでもあった。

TOPICS3

FUTURE

農業の未来
持続可能な農業を実現
アグソリューション
カンパニーへ

※2023年12月時点の役職にて掲載しています。文中の吉田社長は現 吉田至夫代表取締役会長を示します。

ソリューション営業と事業化の進展

2002年、新潟クボタの成長戦略としてソリューション営業、サービスの事業化、農業施設の強化が打ち出された。新潟県内の農業機械シェア争いから転換し、大型農家の担い手へのフォーカスが重要視された。2006年、「鉄コーティング湛水直播栽培」提案により、他社顧客を含む大型農家の関心が集まった。この動きは提案型営業の重要性を浮き彫りにし、新潟クボタのソリューション営業の推進へと繋がった。

サービス事業の拡大

サービス事業の充実を目指し、1996年以降、新潟クボタは複数のサービスセンターを設置。農業機械の長期利用を支援し、高度なメンテナンス技術の提供を行っている。さらに、KSASの機械サービスシステムを活用し、効率的なメンテナンス提案が可能になった。これらの取り組みは2023年には21億円の売上げを記録し、新潟県内の農業の発展に貢献している。

スマート農機・システムの提供

【KSAS導入とスマート農業】
スマート農業の普及に向け、2014年にクボタがKSASをリリース。このシステムを中心に、農業機械の自動運転や農業用ドローンの活用が進んでいる。新潟クボタは、スマート農業のトップランナーとして、県内でのKSAS加入者を増やし、農業生産性の向上と環境負荷軽減に貢献している。

【RTK基地局とスマート農機の進化】
スマート農機の普及として、新潟クボタは農業用ドローンの導入や「ファームパイロット」シリーズの展開を進めている。また、RTK基地局の整備により、高精度な作業が可能になり、無人ロボット農機が実際に稼働している。

「みどりの食料システム戦略」の推進

【スマート農業と米輸出拡大】
新潟クボタは、ファーム事業部を設置し、輸出米用の生産拡大に取り組んでいる。スマート農業の共同研究や実証活動を通じて、地域活性化と農業の持続的な発展を目指している。

【KSASフルスペックファーム】
2024年に完成予定のKSASフルスペックファーム「クボタファーム」は、スマート農業の最先端技術を体験できる施設として計画されている。このプロジェクトは、新潟県農業の復活と先端技術提供のリーダーシップを目指す新潟クボタの重要な取り組みである。
このように、新潟クボタはソリューション営業とサービス事業の進化、スマート農機・システムの提供、そして「みどりの食料システム戦略」の推進を通じて、持続可能な農業の未来を実現し、アグリソリューションカンパニーへの変革を遂げている。