新潟のカリスマ農家 直撃インタビュー
Vol.01 大豆で圃場の“地力”が向上
ここが素晴らしい、島田生産組合のポイント
集落で団結!大豆転作の仕組み作り
上越地方特有の重粘土壌を克服
発芽率は100%と言っても良いほどに!作業は2人いればOK、コスト低減にも成功
大豆栽培で本来の稲作にも大きなメリットが…!?
平成18年に単収280kg・2等以上96%を達成、20年には全国豆類経営改善共励会「北陸農政局長賞」受賞!
新潟クボタとのお付き合い

 

1 集落で団結!大豆転作の仕組み作り  
 


  島田生産組合は、地元・島田集落の有志が立ち上がり平成6年に発足しました。現在の構成員は4名です。地域の圃場整備が平成5年から始まり、同時に転作田が生まれることから大豆、麦といった「転作専門の組合」を作ったのです。本来の稲作は圃場を構成している農家それぞれで栽培を行い、転作分を組合が請け負うというカタチです。 転作地はずっと同じ場所ではなく、土地の状態を見ながらローテーションをするので、組合のような転作の受け皿があると非常に合理的なのです。 ちなみに上越地方における大豆生産面積は約1400haで、島田生産組合はそのうち10haです。

 平成12年の生産調整時には、圃場整備で増えた土地を組合員の一部で購入。そこに作業所を建てて乾燥機械類を入れるなど本格的な 設備投資をしました。もちろん地元のJAにも施設はありましたが、当時は45町歩のうち3割減反となると、少なくとも12〜13町歩転作しなければならない。
「それなら投資をかけて独立した方が作業効率も円滑になる」との決断でした。

 平成19年には島田生産組合と別に農事組合法人しまだを設立。こちらは米が専門です。地域(地元)の農家から出資してもらいました。
米は各農家で作っているので、収穫分は各自の収入になる。がんばって良い米、高い収量を得ればちゃんとその農家に還元される仕組みです。
そして農事組合法人では、肥料や農薬の調達・管理、機械の貸し出しなどを行います。栽培に必要な経費を春に肩代わりし、秋の収穫時に相殺するなど経費管理も行います。 農家は機械の有効活用や帳簿を付けるなど、様々な面で作業が軽減しました。

 
  ページトップへ
 
2 上越地方特有の重粘土壌を克服  
 

  島田集落の水田はすべて大区画に整備し、本暗きょも施工しているので用排水の便が整っています。しかし、重粘土壌が広く分布する上越地方にあって 島田集落も排水性が悪く、従来の耕起では大豆播種に適した砕土率に達しませんでした。

 大豆に適した地下水位は開花期頃までが80cm(湿害に弱いため)、登熟期は30cm(水分が必要)。そこで、地表と地下の水を逃がすことにしました。 地表水の排出には、圃場周囲に幅・深さとも30cmの溝を掘り、水尻(排水口)と連結させました。
大豆の作業は、圃場をしっかりと乾かさなければならないので、雪解け後のなるべく早い時期に行います。地下水の排出は、サブソイラを 本暗きょと斜めに、クロスするように慣行よりかなり細かい5〜6mの間隔でかけます。この2つの排水により圃場をすみやかに畑地化できました。
 排水作業をきっちり行うことで、作業所近くの土地暗きょの制御だけで開花期以降も大豆に給水できます。また、大豆は湿害で初期生育が遅れ 雑草に負けてしまうので、圃場が乾き大豆が順調に生育することで雑草の発生が抑えられました。
排水作業技術あっての大豆生産といえるでしょう。
 当初は麦も生産していましたが、麦を刈り取って大豆を植える作業に手間がかかりました。さらに本来の稲作の田植えや刈り取りと時期が重なることから負担になり 「ひとつに絞ろう!」と大豆のみの栽培へと転換しました。

 

 

 

 

 

 

  ページトップへ
 
3 発芽率は100%と言っても良いほどに!
作業は2人いればOK、コスト低減にも成功
 
 

  平成17年には発芽率の悪さを(独)北陸研究センターに相談、試作機械(アップカットロータリ)を借りて畝立て同時播種に取り組みました。 非常に効率が良く、苗立ちも良い。これでかなり自信を持ちました!大豆の生育が良いので雑草の発生も抑えられ、収量アップにつながりました。 翌年にはアップカットロータリを組合で購入。「砕土率の高さ」も決め手でした。

 この機械は爪がアップカットで回転し、ロータリ内部に装置した櫛状のタインによって大きな土と細かい土に分けられ、大きな土は そのまま下に落ち、その上に細かい土が落ちる仕組み。そのため播種する表層の砕土率は極めて高くなります。組合の経験では、 発芽率100%と言っても良いほどです!

 また、組合のアップカットロータリには独自の工夫がされており、従来の砕土・施肥同時播種にプラスしてアブラムシ類の殺虫剤・土壌処理除草剤を 同時に散布するアタッチメントを付けたのです!これにより播種期に必要な肥料・農薬のすべてを1回で散布できる。 作業時間・人数が大幅に削減できました。それまで作業には3〜4人必要でしたが2人いれば十分。
組合独自のアップカットロータリはコスト低滅に
人件費の削減にもつながりました。 この集落も高齢化が進み、最も若い世代で50歳代。労力不足の中、大豆生産はほとんどが機械に頼れるので本当にラクラクしています(笑)。
 それに以前なら耕耘・播種は天気に左右され、別日の作業になることもありましたが、今では同時に行えるので天候に合わせ作業が出来ます。
播種深さを5cmにすることで倒伏防止になり、2回目の培土も不要になりました。新潟県の場合、中耕・培土作業は梅雨時期の晴れ間を見て 行わなくてはならないので、1回で済むというのは本当に助かっています。
 
  ページトップへ
 
4 大豆栽培で本来の稲作にも大きなメリットが…!?  
 
  大豆栽培地は2年ごとに場所を移しています。大豆と稲を交互に栽培しますが、大豆の後の稲作は水はけが良くなり、 深くなりやすい枕地には硬盤ができるので作業がしやすくなりました。また、粘土質を畑にすることで地下の窒素が上がってきて1年目は 肥料が要らないのです!その土地の「地力」を引き出すというか、大豆は非常に適していますね。無肥料でこしいぶきを12俵も収穫しちゃった田もある(笑)。
農家のみなさんもとても喜んでいます。また、大豆の方で利益が出ているので、米が低迷する中でも元気をもらえます。
 
  ページトップへ
 
5 平成19年に単収280kg・2等以上96%を達成、
20年には全国豆類経営改善共励会「北陸農政局長賞」受賞!
 

  組合では(独)北陸研究センター以外にも新潟県農業総合研究所や農業普及指導センターの指導にもとづき革新的な技術を導入、農機具メーカーにも 合理的な作業を行える機械の改良を依頼してきました。こうして各機関の指導・協力を仰ぎながら組合自身で土地に合った大豆栽培のノウハウを構築し、 重粘土という土壌特性を克服、砕土率の確保にも成功しました。

 このような努力から、大豆の収量も、品質も向上しました。本格的に大豆栽培を始めた平成12年は100〜150kgだった単収が、畝立て同時播種導入後の18年には240kg、 平成19年には単収280kg・2等以上96%を達成するなど飛躍的に成長しました。収量が上がるということは雑草の方が負けるということ。おのずと品質も伴って良くなるのです。 大粒・中粒に至ってはすべて1等でした。

収量・品質がアップした渡邊さんの大豆  全国豆類経営改善共励会「北陸農政局長賞」も受賞し、本来の米作りにも役立った。もう良いことずくめです。 振り返ると、よく決心して転作に踏み切ったなぁと思います。 あの時にやらなかったら今の政策の中ではできないでしょう。今年からはみなさん加工用へ行き始めたけど、私たちは投資をかけてしまったから、 今後も大豆で行きます。農家は非常に政策の影響を受けやすく、将来設計が立てにくい状況にありますが、地域のみんなで力を合わせてがんばっていきます。
 
  ページトップへ  
   
新潟クボタとのお付き合い  
 
砕土・整地性がすぐれたバーチカルハローを試行/前輪はうね幅に合わせて広げてある
 島田生産組合さまとは平成20年・21年と2年間、新潟クボタの「大豆300Aプロジェクト」の実証圃として、圃場をお借りし、 播種から収穫まで一緒になって取り組みをさせて頂きました。まさにプロジェクトが理想とする生産体制をすでに整えられており、 当社もたいへん勉強させていただきました。

 また、今年は当社から「バーチカルハローによる砕土」を提案させていただきました。この作業機は、前側で立ったままの爪が水平方向に回転して表層の土を砕土しながら、 後側に付くローラーで鎮圧していきます。これにより残渣物が完全に土中に埋まり、細かく砕土された地表になります。さらに鎮圧と均平化が同時に行われるので、 理想的な播種床に仕上がります。

 今回の取材で当社製品がもっと農家さまのお役に立てるよう、さらに勉強しなければ!と痛感しました。
 
  ページトップへ
 

 

新潟のカリスマ農家 直撃インタビュー

Vol.02

大豆で圃場の
“地力”が向上!

島田生産組合
山田組合長(左)
渡邉勝利前組合長(右)
掲載日:平成23年1月18日